
各務原の家
花火が見える家。スリットと傾きがつくる豊かな空間。
敷地は各務原の丘陵地の住宅街、岐阜と愛知の県境となる木曽川が近くを流れている。その各務原の対岸には国宝の犬山城、如庵、そして明治村などで知られる犬山があり、この県境の木曽川で行われる花火はこの地域の夏の風物詩である。設計の初期の段階から施主要望のひとつに、「犬山の花火を家から見たい」というものがあった。敷地周辺は住宅が建っているため、2階から花火を見ることは不可能で、屋根の上にあがれば見えるのではないかといった感じであった。そこで人が一列に並んで花火を眺められるよう屋根に切り込みを入れることにした。外観上のもう一つの特徴は、傾斜した南側の壁である。この傾斜は外壁を汚れから防ぎ、開口部の彫り込みは庇の役割を果たし夏の日射しをカットする。その開口部の上部は収納を兼ねる梁の効果を果たし、補強の鉄骨材などを使わず木材のみで大スパンを可能としている。屋根のスリットと傾斜した壁がつくるズレによって生まれたやや複雑な断面が、様々な光の差し込む豊かな空間をつくりだしている。一方、南側の窓に沿ってリニアに配列された平面は、扉と可動収納を動かすことにより、ライフスタイルにあわせたフレキブルな利用を可能としている。





